交通事故を起こしてしまったとき、どんな責任とか罰則がありますか?

交通事故の責任には、民事責任刑事責任行政処分の3つがあります。

交通事故を起こすと、民事責任、刑事責任、行政処分の3つを問われる可能性があります。

事故後は、これら3つが同時並行的に進むので、かなり気ぜわしくなります。

民事責任

事故の被害者の損害、たとえば、ケガの治療費、壊れた車の修理代、仕事ができなくなったときの収入減少などを、損害賠償します。

事故の責任大きさに応じて、損害賠償する金額が決まります。

そのため、事故の相手との間で、お互いの責任の大きさについて、合意する必要があります。

そのための話し合いを示談交渉と呼びます。

示談交渉に、決まった形はありません。事故の当事者同士が納得できるなら、立ち話でもできます。

しかし、よほど軽微な損害でない限り、後々トラブルに発展しないよう、正式に手順を踏みたいです。

事故の相手への損害賠償に自動車保険を使うときは、通常は損害保険会社に示談交渉を任せます。損害保険会社は、無料で引き受けてくれます。

ただし、こちらに過失がないと、損害保険会社は示談交渉をしてくれません。そのときは、自分で交渉にあたるか、弁護士などの専門家に依頼します。

刑事責任

刑事責任とは、社会のルール(法律)に反したことに対する罰です。

交通事故に関係する主な犯罪には、以下があります。

  • 自動車運転過失致死傷罪(人身事故)
  • 危険運転致死傷罪(自動車運転過失致死傷罪のなかでも極めて悪質な場合)
  • 道路交通法違反(信号無視、スピード違反、無免許運転、ひき逃げなどの違反)

自動車運転過失致死傷罪の刑罰は懲役7年以下罰金100万円以下、危険運転致死傷罪の刑罰は懲役15年以下罰金100万円以下です。

刑事処分の手続きは、ざっと下のように進められます。

警察・検察で事情聴取され、調書を作成する。
検察が、起訴する(=裁判手続に進む)かを判断する。
起訴の場合、罪状によって、以下の2パターンに分かれる。
  • 略式起訴(書面審理だけで刑が言い渡される)
  • 正式裁判

起訴されなければ、つまり不起訴になったら、刑罰はありませんし、前科もつきません。

不起訴には、嫌疑が無いか不十分な場合の他、嫌疑はあるが諸事情により起訴しない場合(起訴猶予)もあります。

ところで、民事と刑事は、それぞれ異なる手続きですが、民事がスムーズに進んでいるかは、刑事処分に影響します。そこから、反省の深さや、被害者の感情などを酌量するようです。

行政処分

各都道府県の公安委員会による、運転免許に関する処分です。

違反点数制度反則金制度の二つから成り立っています。

事故の種類と責任の大きさによって、違反点数が加算されます。そして、違反点数の累計が、決められた点数を超えると、運転免許の取消や停止などの処分が下されます。

処分が下るまでの手続きは簡単というか、自動的です。事故後しばらくしたら、公安委員会から、処分の通知が来ます。

通知が来たら、指示に従って出頭し、免許を返納したり、停止期間中預けたり、講習を受けたりします。これらは、そこそこ負担になります(処分だから、当たり前ですが・・・)。

人を傷つけたときや、人の物を壊したときに、どんな罰を受けますか?

人身事故か物損事故かで、問われる責任の内容や大きさが変わります。

交通事故は、大きく以下の2つに分けることができます。

  • 人身事故
  • 物損事故

この2つに分けて、それぞれの民事責任、刑事責任、行政処分を見ていきましょう。

人身事故の場合

死亡や負傷をともなう交通事故です。人身事故を起こすと、以下の責任を問われます。

民事責任

相手に与えた損害について、過失の割合に応じて、損害賠償をしなければなりません(自動車損害賠償保障法3条、民法709条)。

  • 治療費などの賠償
  • 死亡の場合は、葬儀代等
  • 死亡、後遺症、休業などによる逸失利益の賠償
  • 慰謝料(精神的苦痛に対する賠償)
  • 物損の損害賠償
刑事責任

交通事故の加害者は、犯罪を犯したことになり、懲役刑や禁固刑、罰金刑などに処されます。

  • 自動車運転過失致死傷罪
  • 危険運転致死傷罪(飲酒運転など悪質・危険な運転)
  • 殺人罪(死亡するかもしれないと思いながら逃走した場合などを含む)
  • 道路交通法違反(緊急措置義務違反、建造物損壊、酒酔い・酒気帯び運転、無免許など)
行政処分

公安委員会より、運転免許の取り消しや停止などの処分を受けます。

物損事故の場合

物を壊すだけで、死傷者のいない交通事故です物損事故を起こすと、以下の責任を問われます。

民事責任

相手に与えた損害について、過失の割合に応じて、損害賠償をしなければなりません(民法709条)。なお、物損事故では、精神的苦痛を賠償するための慰謝料は認められません。

また、壊れたものの修理・回復の費用は、賠償の対象となります。

  • 修理代
  • 買い換え費用
  • 車が使えなかった期間の営業補償(代車の費用など)

修理代が、車の市場価格を上回るときは、車の市場価格までが損害賠償の範囲となります。

車の市場価格を超える金額は、自己負担となります。

自動車保険も、原則的にはこのルールで運営されています。ただし、車の市場価格を超える修理代を補償する自動車保険が増えています。

刑事責任

必ず刑事責任を問われるわけではありません。

問われるとすれば、道路交通法違反(緊急措置義務違反、建造物損壊など)の可能性が高くなります。

行政処分

事故に伴う交通違反があれば、違反点数が加算されたり、反則金を支払うことになります。

自動車保険は、民事・刑事・行政処分において、どのようにかかわり、どのように役に立ってくれますか?

自動車保険がかかわるのは、民事責任です。刑事処分の罰金や行政処分の反則金などは、自己負担しなければなりません。

自動車保険が直接かかわるのは、民事責任の事故の相手方への損害賠償です。

これについては、事故後に損害保険会社に連絡すれば、やるべきことの大半を、損害保険会社が担ってくれます。

刑事処分と行政処分には、損害保険会社はノータッチです。損保会社の担当者によっては、アドバイスをくれるかもしれませんが、それぞれ専門性の高い分野なので、気がかりならその道のプロを頼りましょう。

行政処分は、公安委員会の処分に従うだけなので、専門家に相談する必要性は低いと思われます。

一方の刑事手続きは、不安があれば、弁護士や司法書士などの専門家に相談しましょう。お金はかかりますが・・・

事故の後始末を、できるだけスムーズに進めるために、わたしたちのやるべきことを、頭に置いておきましょう。

民事責任では、損害保険会社はかなり役に立ってくれます。もっとも負担になるであろう、示談交渉と賠償金の支払いを引き受けてくれますから。

ただし、加入者の側でしっかりやっておきたいこともあります。たとえば、以下のようなことです。

  • 事故直後の、警察への連絡(交通事故証明書発行のため)、損害保険会社への連絡。
  • 示談交渉に必要な情報(事故の状況、相手の連絡先や保険会社など)の収集。
  • すみやかに、病院での検査を受けたり、修理代の見積もりを依頼する(こちらの損害を明確にする)。
  • 事故の相手への見舞いなど、コミュニケーションを円滑に。

もしかしたら、示談交渉に必要な情報の収集が、気になるかもしれません。

冷静なときなら、そんなに難しいことではありません。しかし、事故直後で動転していたら、ぬかってしまうかもしれません。

そんな不安をお持ちなら、事故現場に駆けつけて支援・助言してくれる自動車保険をご検討ください。

車が故障したときに、駆けつけて修理してくれるサービス(=ロードサービス)は、ほぼすべての自動車保険が提供しています。

しかし、事故対応を手伝ってくれるのは、まだ少数です。

以下の5つの自動車保険です。

  • イーデザイン損保
  • セコム損保
  • SOMPOダイレクト
  • ソニー損保
  • 損保ジャパン
  • セゾン自動車火災は、SOMPOダイレクトに商号変更しました。

いずれも、現場に来るのは、損保会社の社員ではなく、大手警備保障会社(セコムとかALSOK)の隊員です。

事故現場でいきなり示談交渉を始めるわけではないので、警備会社の隊員で、十分にありがたいです。

ちなみに、上の5社のうち、損保ジャパン以外は、ダイレクト(ネット通販)型です。

ダイレクト(ネット通販)型の4社なら、加入者全員が無料(追加料金無し)で、このサービスを受けられます。

代理店型の損保ジャパンは、《安全運転支援サービス》を申し込むと、このサービスを受けられます。特約保険料月額850円が、追加で発生します。

自動車保険の無料一括見積りサービスはいくつかありますが、以下の理由で、こちらのサービスをおすすめします。

  • 1回入力すれば、複数の気になる自動車保険の見積りが、一気に作成されます。
  • 参加している保険会社数が多く、おすすめしたい自動車保険がすべて含まれています。
  • 『保険見直し本舗』(全国300店舗以上)を展開する株式会社ウェブクルーによるサービスなので、安心感がある。
  • サイトの利用はもちろん無料。
  • サイトは使いやすく、各損害保険会社とのつながりはスムーズ。

自動車保険サイトの1社分の情報を入力すると、おもな自動車保険の保険料が図のように一覧表示されます。

その後、個々の自動車保険のホームページに移動して、さらに条件を変えて、試算をやり直すこともできます。

このサイトの利用者を対象としたアンケート調査によると、月々の保険料が平均して約25,000円安くなったそうです。

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