自動車共済がどんなものか? どういう人に向いているのか? 加入するときの注意点などを解説しています。

自動車共済は自動車保険と完全に競合します。とくに保険料を下げたい方々には、注目していただきたいです。

このページでは、自動車共済について、消費者としてぜひ知っておきたいことにしぼって解説します。

自動車共済は、誰が補償してくれるのですか?

自動車共済は、協同組合などが運営する相互扶助のための事業の一つです。

協同組合の例としては、農業協同組合(JA)、漁業協同組合(JF)、生活協同組合(生協)、中小企業等協同組合(中小企協)、森林組合、労働組合などがあります。

こうした協同組合が、組合員に提供しているサービス等を共済と呼びます。自動車共済もその一つです。

補足説明

協同組合には次のような特徴があります。

  • 共通のニーズを持った人たちによる自発的な団体。
  • 組合員は出資金の形で運営資金を出し合う。
  • 協同組合による事業の利用者は組合員。
  • 協同組合の運営は、組合員が民主的に決める。

自動車共済に入るためには、原則として、どこかの協同組合の組合員にならなければなりません。

誰でも組合員になれる

協同組合によって、組合員になれる条件があります。とは言え、生協の数はとても多いので、誰でも何らかの協同組合に入ることが出来ます

また、農協(JA)のように、組合員でなくても自動車共済に入れことができる協同組合もあります。

出資金

出資金は、組合員になるときに払い込む、入会金のようなものです。最低金額(協同組合ごとに決められている)以上であれば、自分で金額を決めることができます。

負担した出資金の大きさに応じて、配当金をもらうことができます。

また、組合をやめるときに、出資金は戻ってきます。

出資金が高額な生協は、避けた方がいいです。

生協の中にも経営難に陥っているところがあります。出資金が他より目立って高いところは、不安があります。

自動車共済の市場シェアは、自動車保険よりかなり小さいです。

図は、損害保険料率算出機構『自動車保険の概況』(2024年度版)をもとに作成した、自動車保険と自動車共済のシェアです。

自動車保険 75.5% 共済 13.2% 無保険 11.3%

自動車共済の補償は、自動車保険と比べてどうですか?

自動車保険と等級引き継ぎできる自動車共済は、自動車保険と同等のレベルにあります。

自動車共済の中には、自動車保険に乗り換えたときに(あるいは自動車保険から乗り換えたときに)、等級を引き継ぎできる商品と(図の上側)、できない商品とがあります。

できない商品と乗り換えすると、6等級からの再スタートになります(図の下側)。

自動車保険の等級引継ぎ

自動車保険と等級引継ぎできる自動車共済は、損害保険業界が対等であると認めている商品です。そのような自動車共済をお勧めします。

以下の自動車共済は、ほとんどの自動車保険と等級引き継ぎできます。

自動車保険と等級引継可能な自動車共済

  • JA共済(全国共済農業協同組合連合会)
  • こくみん共済coop(全労済)
  • 全自共(全国自動車共済協同組合連合会)
  • 全日本火災共済(全日本火災共済協同組合連合会)

補足説明

教職員共済(教職員共済生活協同組合)は、等級引き継ぎできる自動車保険、できない自動車保険に分かれています。

自動車共済と自動車保険とでは、言葉づかいが一部異なります。

自動車共済と自動車保険とで、言葉づかいに少し違いがあります。

例として、下表に、JA共済『クルマスター』と、一般的な自動車保険との、言葉づかいの違いをまとめました。

共済の用語 保険の用語
共済金額 保険金額
共済掛金 保険料
共済期間 保険期間
被共済者 被保険者
保障 補償
傷害定額給付 搭乗者傷害保険

"共済"という言葉を、"保険"に置き換えると、たいていはすんなりと理解できます。

自動車共済には、経営破綻したときに加入者を保護する仕組みがありません。それだけに、経営基盤のしっかりした共済を選びたいです。

損害保険業界には、損害保険契約者保護機構という組織があって、損保会社が経営破綻したときに加入者を保護してくれます。

自動車共済には、このような組織がありません。。それだけに、経営基盤のしっかりした共済を選びたいです。

以下の2つの共済なら、大手金融機関並みの資金力をもっています。下表では、総資産とソルベンシー・マージン比率(資金的余裕度)を、大手損保と比較しています。2023年度末の実績です。

総資産 SM比率
JA共済 57兆6,870億円 1095.4%
こくみん共済coop 4兆194億円 2253.3%
東京海上日動 10兆7896億円 863.7%
損保ジャパン 9兆9540億円 606.0%
三井住友海上 7兆8643億円 691.1%
あいおいニッセイ同和 4兆1116億円 780.3%

JA共済は大手損保をはるかに上回っています。こくみん共済coopはそれより小さいですが、大手損保並みの規模ですから、安心して任せられます。

自動車共済の評判はどうですか?

自動車共済には、中立的な機関による顧客満足度ランキングのような情報が乏しいです。参考にできるのはJCSI(日本版顧客満足度調査)くらいです。

JCSI(日本版顧客満足度調査)

日本生産性本部が毎年実施しているJCSI(日本版顧客満足度調査)です。自動車共済と自動車保険とを区別しないで、順位をつけています

ただし、JCSIのランキングには、➊対象となっている損保会社の数が少ない、➋公開されている情報が少ない、といった残念な点もあります。

自動車共済の評価は?

JCSIのランキングでは、6つの部門に分けて順位をつけています。

2024年版のJCSIのランキングでは、JA共済とこくみん共済coop(全労済)の2つの自動車共済が対象になっています。下にその結果をまとめました。

部門  JA共済  こくみん
共済coop
期待度 圏外 8位
品質評価 圏外 7位
コスパ 圏外 4位
顧客満足度 圏外 6位
お勧め度 6位 2位
継続の意向 3位 2位

こんみん共済coop(全労済)なら、並みの自動車保険と同レベルの品質を期待できそうです。

JA共済は、顧客満足度や品質評価は低めです。ただし、「お勧め度」「継続の意向」は高いので、加入者に親しまれているようです。

JA共済とこくみん共済coop以外の共済は、まともな口コミ情報が見当たりません。だから、実際の顧客満足度はわからないのですが、口コミ情報が少ないこと自体、リスクと言えます。

自動車共済の保険料(掛金)の水準はどのくらいですか?

JA共済とこんみん共済coopの保険料(掛金)を、代理店型自動車保険とダイレクト(ネット)型自動車保険の相場と比べました。

自動車共済では、保険料のことを掛金または共済掛金などと呼びます。

JA共済『クルマスター』

JA共済『クルマスター』の保険料(掛金)を、7パターンの年齢と等級の組み合わせで見積もりし、代理店型自動車保険とダイレクト(ネット)型自動車保険の保険料の平均と比較したのが、下のグラフです。

ダイレクト型 代理店型 JA共済 10万円 5万円 0 21歳 7等級 26歳 7等級 35歳 10等級 45歳 17等級 55歳 20等級 65歳 20等級 75歳 20等級

全体的に、ダイレクト(ネット)型自動車保険の保険料平均より安いです。かなり割安な価格設定です。

こくみん共済coop『マイカー共済』

こくみん共済coop『マイカー共済』の保険料(掛金)を、7パターンの年齢と等級の組み合わせで見積もりし、代理店型自動車保険とダイレクト(ネット)型自動車保険の保険料の平均と比較したのが、下のグラフです。

ダイレクト型 代理店型 こくみん共済 10万円 5万円 0 21歳 7等級 26歳 7等級 35歳 10等級 45歳 17等級 55歳 20等級 65歳 20等級 75歳 20等級

全体的に、ダイレクト(ネット)型自動車保険の保険料と同じくらいです。

自動車共済は、ダイレクト(ネット)型自動車保険のライバルと言えます。

自動車共済の中で、おすすめの商品はありますか?

こくみん共済coop(全労済)の『マイカー共済』をお勧めします。

自動車共済の中でお勧めしたいのは・・・

お勧めの自動車共済

こくみん共済coop(全労済)

理由は次のとおりです。

お勧めの理由

  • 自動車共済のうち、自動車保険並みの品質を期待できるのは「マイカー共済」だけ。
  • ウェブサイトで精度の高い保険料シミュレーションができる(検討しやすい)。
  • 下の一括見積りサービスに参加しており、自動車保険との比較が簡単にできる。

自動車保険の無料一括見積りサービスはいくつかありますが、以下の理由で、こちらのサービスをおすすめします。

  • 1回入力すれば、複数の気になる自動車保険の見積りが、一気に作成されます。
  • 参加している保険会社数が多く、おすすめしたい自動車保険がすべて含まれています。
  • 『保険見直し本舗』(全国360店舗)を展開する株式会社ウェブクルーによるサービスなので、安心感がある。
  • サイトの利用はもちろん無料。
  • サイトは使いやすく、各損害保険会社とのつながりはスムーズ。

自動車保険サイトの1社分の情報を入力すると、おもな自動車保険の保険料が図のように一覧表示されます。

その後、個々の自動車保険のホームページに移動して、さらに条件を変えて、試算をやり直すこともできます。

このサイトの利用者を対象としたアンケート調査によると、月々の保険料が平均して約25,000円安くなったそうです。

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