自動車保険の等級とは、どういうものですか?
等級は、加入者の優良度を表すランクです。等級の数字が大きくなるほど、保険料の割引が大きくなります。
自動車保険の保険料は、年齢とか、年間走行距離とか、車の用途など、さまざまな項目をもとに、算定されます。
そうした項目の中でも、保険料への影響が特に大きいものの一つが、等級です。
等級は、簡単に言うと、損害保険会社にとってどのくらい優良な顧客かを表す、実績にもとづく格付けです。
1等級〜20等級に分かれており、数字が大きいほど優良です。その特典として、保険料の割引率がだんだん大きくなります。
保険を使わなければ使わないほど、等級は上がります。使うと、等級は下がります。
自動車保険は、6等級からスタートして、年に1回更新されます。そのときに、等級が見直されます。
過去1年間に保険を使っていなければ(保険金をもらっていなければ)、更新のときに等級が一つ上がります。
逆に、保険を使っていたら、その内容によって、1等級または3等級下がります。
6等級から初めて、まったく保険を使わなければ、14年後に最高の20等級になります。
20等級より上はないので、その後は、保険を使わない限り、20等級が維持されます。
等級は、他社の自動車保険にも、承継することができます。一部の共済とも承継できます。
年数を費やして上げた等級を、他社の自動車保険に乗り換えても、そのまま引き継ぐことができます。
損害保険会社の間では、どの損保会社にも、等級を承継できます。
保険料節約を重視するなら、自動車保険の更新時期が近づいたら、面倒でも、おもな商品の見積もりを比較して、メリットがあれば他社にドンドン乗り換えましょう。
他社に乗り換えるときは、新しい方の加入手続きをするだけなので、けっこう簡単です。
ちなみに、JA共済、全労済など、一部の共済とも等級を承継できます。
等級は、同居する家族間でも、引き継ぐことができます。世帯全体の保険料を節約できます。
同居する家族間に限って、等級を譲ることができます。
等級を譲れる範囲は、下図のとおりです。
基準となるのは記名被保険者です。記名被保険者というのは、主に運転する人のことです。
記名被保険者の配偶者、同居親族、そして配偶者の同居親族に、等級を引き継ぐことができます。内縁関係のパートナーにも、引き継げます。
引き継ぐというのは、自分の等級を相手に譲って、自分自身はスタートの6等級に戻ることを意味します。
よくあるのが、子どもに対する等級引き継ぎです。同居の若い子どもが新規に自動車保険に入ると、年齢も等級も低いため、保険料がかなり高額になります。
そこで、親の等級を子どもに譲って、保険料を低く抑えることができます。
等級を譲った親の方は、6等級からの再スタートになりますが、同じ6等級でも、年齢が高い分、保険料は安くなります。
なお、これができるのは、同居する子どもに限られます。
自動車保険から保険金を受け取ると、次の更新のときに等級が下がって、保険料が高くなるそうですね。
自動車保険の等級制度は、安全運転を心がけている方にとっては、長い目で見るとメリットのある仕組みです。
自動車保険を使うと、次の更新のときに等級が下がって保険料が上がります。ご自分が事故を起こしたときのことを想像すると、不安になる仕組みです。 しかし、これは加入者の不公平をなくすための仕組みです。
自動車保険をよく使う人(何度も保険金を請求する人)は、損保会社にとってありがたくないばかりか、そういう人が増えると保険料が値上げされて、他の加入者にも悪い影響が出ます。
そこで、加入者の優良度を等級でランク付けして、保険料に格差をつけています。優良なドライバーほど、着々と等級が上がって、保険料が安くなっていきます。
ですから、安全運転を心がけている方にとっては、長い目で見るとメリットのある仕組みです。
とは言え、安全運転を心がけていても、巡り合わせが悪くて自動車事故を起こすことはありえます。
そういうときに、損得を正しく判断できるように、保険を使ったときの等級の取り扱いについて、知識を持っておきたいです。
自動車保険から保険金を受け取って、損になってしまうのは、どんなときですか?
自動車保険を使うかの判断基準は、損害額の大きさです。具体的な金額は、人によって異なります。
自動車保険から保険金を受け取ると、原則として、次の契約更新のときに、3等級ダウンして(事故によっては1等級)保険料が高くなります。
さらに、保険金を受け取った原因によって、3年間(事故によっては1年間)ペナルティとして保険料が割り増しされます。この期間を事故あり係数適用期間と呼びます。
3等級ダウン事故、1等級ダウン事故、ノーカウント事故
等級ダウンする事故には、3パターンあります。
3等級ダウン事故 | 3つのうち、これになる可能性が、最も高いです。 相手のある事故を起こして、対人賠償保険か対物賠償保険を使うと、3等級ダウンです。 車両保険を使ったときも、特定のケースを除いて、3等級ダウンになります。 |
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1等級ダウン事故 | たとえば、盗難、落書き、台風などで車両保険を使ったとき、1等級ダウン事故になります。 |
ノーカウント事故 | 保険を使っても、使わなかったときと同じく、次の更新で1等級上がる事故です。 たとえば、人身傷害保険や搭乗者傷害保険だけを使ったときが、これに当たります。 |
ちなみに、事故を起こしても、保険を使わなければ、等級に影響しません。
等級ダウンによる保険料の増加は、けっこう大きい
図は、現在17等級の人が事故を起こしたきに、自動車保険を使った場合と、使わなかった場合の、その後の保険料の違いを表しています。
赤線が、自動車保険を使った場合の年払い保険料、紺色の線が使わなかったときの年払い保険料です。
事故あり係数適用期間の3年間の、保険料の上がり幅の大きさが目につきます。しかし、グラフのとおり、赤線が上限の20等級になるまでは、紺色の線に追いつけません。
赤色の線が紺色の線に追いつくまでに、7年間かかっています。その間、保険料を余分に負担することになります。
この図の例だと、余分に負担する金額の合計は、約10万円です(現在の等級や、保険料の金額によって変動します)。ということは、10万円未満の修理のために保険を使うと、お金の収支の面では、損をしたことになってしまいます。
等級ダウン後の保険料は、損保会社に問い合わせれば答えてくれます。その回答を聞いてから、保険金を請求するかを判断しましょう。
修理代が数万円程度なら、自動車保険を使う方が損になる可能性は高いです。が、いずれにしても、カンで判断するのではなく、損保会社に問い合わせて確認しましょう。
自動車保険を使うか迷ったときは、とりあえず損保会社に問い合わせて、使った場合と使わない場合の保険料を質問しましょう。
それを知った上で、保険を使うかを判断しましょう。