車両保険はどんな人に必要な保険か、車両保険に入るときに注意してほしいこと、保険料のうまい節約方法について、解説します。

車両保険は、ご自分の車の修理代や買い替え費用を用意するための保険です。頼もしいですが、保険料が高くなりやすいです。

このページでは、そんな車両保険の入り方について、詳しく解説しています。

車両保険はどんな保険ですか?どんな人のための保険ですか?

車両保険は、自動車保険を構成する保険の一つで、自分の車の損害に備える保険です。

自動車保険は、下図のような構成になっています。

自動車保険 対人賠償保険 事故の相手の身体 の損害を補償 対物賠償保険 事故の相手の財産 の損害を補償 人身傷害保険 自分と同乗者の心 身の損害を補償 車両保険 自分の車の損害を 補償

対人賠償保険や対物賠償保険は、多くの商品で自動セットされていますが、車両保険に入るかは加入者が決められます

車両保険に入ったほうがいいのは、➀車がないと日常生活に支障が出る人で、なおかつ➁車の修理代を預貯金等で準備できそうにない人です。

車両保険に入っていれば安心ですが、保険料の面で気になる点が2つあります。

車両保険は保険料が高い

車両保険の保険料は、大きな金額になりやすいです。

対人賠償保険 対物賠償保険 人身傷害保険 車両保険なし の保険料 対人賠償保険 対物賠償保険 人身傷害保険 車両保険 車両保険あり の保険料 保険料は 2倍前後に

車両保険を使うと保険料が高くなる

自動車保険の中で、対人賠償保険・対物賠償保険・車両保険のどれかを使うと、次の更新のときに、等級ダウンして保険料が高くなる可能性が大きいです。

修理代が安いときは、車両保険を使わないで、自腹を切ったほうが安上がりなります。

車両保険に入るかは慎重に判断を

上の2点から、車両保険に入るかは慎重に判断していただきたいです。

車両保険に入ることをお勧めしたいのは、次の2つの条件に当てはまる方々です。

車両保険が必要な人の特徴
  • 車がないと日常生活に支障が出る
  • 車の修理代を預貯金等で準備できない恐れがある

車両保険に入るには、設定しなければならない項目がいろいろありますね。

車両保険で設定しなければならない項目と、お勧めする設定方法をまとめました。

設定しなければならない項目は、どの商品でもだいたい共通しています。

設定項目 目的・内容
補償のタイプ
  • 補償される事故の範囲を指定する。せまくすることで保険料を節約できる。
  • 一般型」「エコノミー(車対車+A)型」などの2〜3つの択肢から加入者が選ぶ
保険金額
  • 保険金の上限額を指定する。
  • 金額の選択肢の中から加入者が選ぶ。
  • 選択肢は、その車の時価相当額が基準になる。
  • 金額を大きくするほど、保険料は高くなる
免責金額
  • 事故で保険を使うときに、自腹を切る金額を指定する。
  • 金額の選択肢(0円、5万円、10万円など)の中から加入者が選ぶ。
  • 金額を大きくするほど、保険料は安くなる。
  • 車対車免ゼロ特約が用意されている。

お勧めする設定は次のとおりです。

車両保険のお勧め設定

補償される事故の範囲 一般型」。
事故の原因は何であれ、修理代はかかる。費用面で不安があるなら、事故の範囲をせばめたくない。
保険金額 ご自身で判断してください
ちなみに、高い金額に指定しても、保険料への影響は意外と小さいです。
免責金額 5〜10万円
保険料の下げ方として合理的で、それなりに効果があります。

それぞれの設定項目について、以下で補足説明します。

補償のタイプは、「一般型」をお勧めします。もし「エコノミー(車対車+A)型」にされるなら、商品による違いも意識してください。

ほとんどの自動車保険で、「一般型」「エコノミー(車対車+A)型」の2タイプが用意されています。

「一般型」は、すべての事故が車両保険の対象になります。「エコノミー(車対車+A)型」を選ぶと、事故の範囲がせまくなるかわりに、保険料が安くなります

ただし、「エコノミー(車対車+A)型」の事故の範囲は商品によって差があります。できる限り、「当て逃げ」「人との接触」「自転車との接触」が対象になっている商品を選んでください。

【一般型】 【エコノミー型】 ❍他車との衝突 ❍落書き、いたずら ❍盗難 ❍当て逃げ ❍人との接触 ❍自転車との接触 ❍単独事故 ❍地震,噴火,津波 ❍他車との衝突 ❍落書き、いたずら ❍盗難 ❍当て逃げ ❍人との接触 ❍自転車との接触 ❍単独事故 ❍地震,噴火,津波

「当て逃げ」「人との接触」「自転車との接触」の3つは、こちらがいくら慎重であっても、防げない事故です。これらを対象外にするのは危険です。

補足説明

地震,噴火,津波といった大規模災害は、すべての商品で補償対象外になります。ただし、商品によっては、大規模災害向けの小さな補償の特約が用意されています。

車両保険に免責金額を指定すると、合理的に保険料を下げられます。

免責金額とは

免責金額を指定すると、修理代のうちその金額までは、こちらが自腹を切ることになります。そのかわりに、車両保険の保険料は安くなります。

車両保険 の保険金 免責金額 (自腹)

免責金額の具体例

免責金額10万円に指定したとします。

例1)修理代15万円なら

  • あなたの自腹は10万円
  • 車両保険から出る金額は5万円

例2)修理代5万円なら

  • あなたの自腹は5万円
  • 車両保険から出る金額は0円

免責金額の指定方法

免責金額を指定するときは、2つの金額を指定します。

たとえば、次のように指定します。

5万円 − 10万円 保険期間中の 1回目の免責額 2回目以降 の免責額

保険料に影響が大きいのは1回目の金額です。そして、免責金額を大きくするほど、車両保険の保険料は下がります。

車対車免ゼロ特約

免責金額を設定したときに、付けることができる特約です。

この車対車免ゼロ特約を車両保険に付加すると、保険期間中1回目の自動車同士の事故に限り、免責金額の設定が無視されます(=自腹が無くなります)。

そのかわりに、この特約を付けると、保険料が少し上がります。

補足説明

この特約には、自動車事故の中でも、車同士の事故は損害が大きくなりやすいから、そういう事故の補償だけは厚くしておく、という考えがあるのでしょう。

免責金額を指定するのが合理的な理由

事故の種類によりますが、車両保険を使うと、次の更新のときに等級ダウンして、保険料が高くなる可能性が大です

ということは、修理代が小額のときは、車両保険を使わないで自己負担したほうが、おトクになります。

どうせ自己負担するなら、免責金額を設定して、保険料を安くしたいです。

等級ダウンすると、20等級になるのが遅れます。20等級になるまでの間ずっと、(ダウンしなかったときより)多めに保険料を払い続けることになります。

多めに払う保険料を合計すると、それなりの金額になります。等級ダウンのダメージは意外と大きくなります。

どれくらいの人たちが車両保険に入っているのですか?

乗用車のオーナーは、車が新しいか古いかに関係なく、車両保険に入っている人が多いようです。

損害保険料率算出機構「自動車保険の概況」(2024年版)によると、自家用車(新車・旧車のどちらも)の種類別の車両保険加入率は、以下のようになっています。

車の種類 車両保険加入率
普通乗用車
(3ナンバー)
76.6%
小型乗用車
(5,7ナンバー)
66.9%
軽乗用車 62.7%
普通貨物車
(1ナンバー)
48.6%
小型貨物車
(4ナンバー)
54.2%
軽貨物車 37.9%

車のサイズにかかわりなく、乗用車のオーナーは、過半数が車両保険に入っています。

車両保険の保険料を、安くする方法を教えてください。

どなたにでもできる車両保険の節約方法は4つあります。

以下の4つです。このうち上から3つ目までについては、すでにこのページでご説明しました。

車両保険の保険料を下げる方法

  • 補償のタイプを「エコノミー(車対車+A)型」にする。
  • 保険金額をできるだけ低く設定する。
  • 免責金額を設定し、金額をできるだけ高くする。
  • もっと保険料の安い自動車保険に乗り換える。

以下で、4番目の方法について補足説明します。

もし現在、代理店型自動車保険にご加入なら、ダイレクト(ネット)型に切りかえるのが、効果的です。

現在45歳17等級の人の、東京海上日動(=代理店型)とソニー損保(=ダイレクト(ネット)型)の年払い保険料を比較しました。車両保険金100万円です。

車両保険 36,610円 それ以外 43,470円 東京海上日動 車両保険 29,950円 それ以外 35,560円 ソニー損保

ソニー損保は、ダイレクト(ネット)型の中では保険料高めですが、それでも代理店型よりはあきらかに安くなります。

自動車保険の無料一括見積りサービスはいくつかありますが、以下の理由で、こちらのサービスをおすすめします。

  • 1回入力すれば、複数の気になる自動車保険の見積りが、一気に作成されます。
  • 参加している保険会社数が多く、おすすめしたい自動車保険がすべて含まれています。
  • 『保険見直し本舗』(全国360店舗)を展開する株式会社ウェブクルーによるサービスなので、安心感がある。
  • サイトの利用はもちろん無料。
  • サイトは使いやすく、各損害保険会社とのつながりはスムーズ。

自動車保険サイトの1社分の情報を入力すると、おもな自動車保険の保険料が図のように一覧表示されます。

その後、個々の自動車保険のホームページに移動して、さらに条件を変えて、試算をやり直すこともできます。

このサイトの利用者を対象としたアンケート調査によると、月々の保険料が平均して約25,000円安くなったそうです。

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