対人賠償保険・対物賠償保険の、保険料を安くする入り方を解説します。

対人賠償保険、対物賠償保険は、自動車保険を構成する保険です。どちらも、事故で他人に損害を与えたときに使える保険です。

自動車保険 対人賠償保険 事故の相手の身体 の損害を補償 対物賠償保険 事故の相手の財産 の損害を補償 人身傷害保険 自分と同乗者の心 身の損害を補償 車両保険 自分の車の損害を 補償

このページでは、対人賠償保険と対物賠償保険の、保険料を安くする入り方について解説します。

対人賠償保険の、保険料が安くなる入り方は?

ほとんどの商品で、対人賠償保険の保険料は変更できません。補償内容は固定されています。

対人賠償保険は、ほとんどの個人向け・家庭向け自動車保険で自動セットされ、保険金額は「無制限」一択になっています。

対人賠償保険の保険料を下げるなら、保険料の安い商品に乗り換えるしかありません。

補足説明

代理店型の損保会社の多くは、個人向けの自動車保険と、個人&法人向けの自動車保険とを販売しています。後者ですと、対人賠償保険を外すことができます。

対物賠償保険の、保険料が安くなる入り方は?

対物賠償保険も、ほとんどの自動車保険で自動セットされます。しかし、商品によっては補償内容を変更できます

対物賠償保険の保険料を下げる方法には、以下があります。ただし、できる商品とできない商品があります。

対物賠償保険の保険料を下げる方法
  • 保険金額を指定する(「無制限」以外を指定することで安くなる)。
  • 免責金額を指定する。

以下で具体的に説明します。

通常の保険金額は「無制限」ですが、それ以外を指定することで、保険料を安くできる商品があります。

保険金額は「無制限」が基本

ほとんどの損保会社は、対物賠償保険の保険金額を「無制限」にすることを推奨しています。

物損事故でも、相手の損害が高額になることがあるからです。下表はその例です。

判決 被害物件 裁判で認定された
損害額
2011年12月 トレーラー 1億1,798万円
2011年11月 店舗 2,221万円
2008年5月 積荷 4,141万円
2004年1月 貨物車・積荷 3,391万円

実際、対物賠償保険に入っている人のほとんどが、保険金額を「無制限」にしています。以下は2023年度の実績です。

無制限 99.7%

「無制限」以外を指定したときの値下げ効果

実際には、「無制限」以外を指定して、保険料を下げられる商品は少なくありません。

ソニー損保の自動車保険で、実際にシミュレーションしました。35歳17等級の人が、対物賠償保険の保険金額を下げたときの、保険料の下げ幅(「無制限」との比較)を下にまとめました。

保険金額 年払い保険料の下げ幅
5,000万円 -490円
1,000万円 -1,020円

保険金額を下げても、値下げの効果は意外と小さいです。それにもかかわらず、相手の損害が高額になったときのリスクが大きいです。

お勧めできません!

保険金額は「無制限」のままで、免責金額を指定して保険料を安くできる商品があります。

免責金額を指定すると、対物賠償保険を使うときでも、免責金額までは自腹を切ることになります。そのかわりに、保険料を安くできます。

対人賠償保険 の保険金 免責金額 (自腹)

免責金額を設定しても、保険金額の上限は「無制限」のままなので、高額の損害賠償には対応できます

セコム損保の自動車保険で、実際にシミュレーションしました。35歳17等級の人が、対物賠償保険に免責金額を設定したときの、保険料の下げ幅(免責金額ゼロとの比較)を下にまとめました。

免責金額 年払い保険料の下げ幅
5万円 -3,090円
10万円 -5,650円
20万円 -9,220円

無理のない免責金額を設定することで、保険料負担を効果的に軽くできます

補足説明

ダイレクト(ネット)型自動車保険で、免責金額を設定できる商品は、今のところセコム損保だけです。

逆に言うと、免責金額を設定できることが、セコム損保の最大の魅力かもしれません。

対物超過特約は、付けたほうが良いのでしょうか?

本来なら、対物超過特約を付ける必要はありません。ただし、付けておくとトラブルを予防できるかもしれません。

事故で他人の車をこわした場合、対物賠償保険で弁償できるのは、その車の時価額(中古車市場での取引額)が上限です。

なぜかと言うと、弁償するのは時価額までで良いと、法律や判例で決まっているからです。

ただし・・・

相手の車が古くて時価額が低いと、保険金が少なすぎてトラブルになる恐れがあります。

そこで、対物超過特約です。この特約を付けておくと、対物賠償保険の保険金が足りないときに、最大で50万円を上乗せしてもらえます。

対物賠償保険 の保険金 対物超過特約 (50万円まで)

法律に定められている以上の責任を負わされるのは、スッキリしないですね。でも、事故の後始末をスムーズに、そして速やかに進められるのなら、その方がいいかもしれませんね・・・

車両価格の低い車が、たくさん走っています。

自動車検査登録情報協会『わが国の自動車保有動向』によると、2024年の乗用車の平均使用年数は・・・

乗用車の平均使用年数

13.32年

つまり、時価額が安い車が、大量に走行していることになります。

対物超過特約は、トラブル防止に役に立ちそうです。

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