ダイレクト型の自動車保険の仕組みや選び方について、実践的にご説明します。

ダイレクト(ネット通販)型自動車保険は、保険料の安さを宣伝しています。代理店型自動車保険と比べて、どのくらい安いのでしょうか?

代理店型自動車保険とダイレクト(ネット通販)型自動車保険の保険料には、あきらかな格差があります。

代理店型自動車保険とダイレクト(ネット通販)型自動車保険の、それぞれの主な商品の保険料の平均を求めて、グラフにしました。

保険料は、6パターンの年齢・等級の組み合わせで、算出しました。

代理店型自動車保険とダイレクト型自動車保険の、保険料の平均

6つのパターンとも、はっきりと差が出ました。

金額の差は見積もり条件によって変動しますが、ダイレクト(ネット通販)型の保険料の安さは、まちがいないようです。

同じ自動車保険でも、値段の差はこんなにハッキリしているのですね!

ダイレクト(ネット通販)型はなぜそんなに安いのですか?代理店型と、補償の内容に差があるのですか?

自動車保険の補償内容は、会社の規模や、代理店型かダイレクト型か、国内損保か外資系損保か、などでは異なりません。

他社の自動車保険に切りかえるときに、前の保険の等級を、次の保険に引き継ぐことができます。

こうした等級の引継ぎは、国内で営業するすべての損保会社の間で使うことができます。

当然、代理店型⇔ダイレクト(ネット通販)型、国内損保⇔外資系損保でも、対等に引き継ぐことができます。

等級の引き継ぎが可能なのは、各社の自動車保険の、基本の仕組みが共通しているからです

各社は、独自性を出すために、自社の自動車保険に特徴を与えています。

しかし、基本の仕組みを好き勝手に改変しているわけではありません。違いが出るのは、プラスαの機能です。

ダイレクト(ネット通販)型の保険料が、代理店型より大幅に安いのは、事業の運営費用がかかりにくいからです。

ダイレクト(ネット通販)型の保険料が、代理店型より大幅に安いことには、もっともな理由があります。

  • 代理店がないので、販売のためのコストを低く抑えることができる。
  • 損保会社の支社等の拠点数が少ないので、経営コストを低く抑えられる。

年間売上が近い、代理店型の日新火災と、ダイレクト(ネット通販)型のソニー損保で比較してみましょう(2023年3月末)。

日新火災 ソニー損保
売上高 1,450億 1,437億
従業員数 2,092 1,517
代理店数 10,549 なし
損害サービス拠点数 98 9

両社の売上高は近いですが、ソニー損保のほうが、従業員も拠点数も少ないです。コンパクトな体制で運営されており、経営コストを抑えています。

その分だけ、保険料を安くできます。

ダイレクト(ネット通販)型の損保会社は、会社の規模は小さく、拠点数も少ないようです。事故対応に不安はありませんか?

ダイレクト(ネット通販)型の損保会社は、外部に業務委託することによって、規模の不足を補っています。

上で日新火災とソニー損保の比較をご覧いただきましたが、損害サービス拠点の数は、ソニー損保が10分の1程度でした。

ダイレクト(ネット通販)型トップのソニー損保ですらこれですから、事故が起きたときの体制に不安を感じるのは当然です。

ダイレクト(ネット通販)型の損保会社は、損害の調査などの業務を、外部の企業に業務委託しています。

わかりやすい例をあげると、東京海上グループのイーデザイン損保は、同じグループの損害調査会社、東京海上日動調査サービス(株)に業務委託しています。

ほとんどのダイレクト(ネット通販)型損保は、委託先を公表していませんが、同じように、外部の専門会社に委託しています。

このように、ダイレクト(ネット通販)型の損保会社も、全国どこで事故が起きても対応できる体制を作り上げています。

中立的な顧客満足度調査によると、ダイレクト型は3つくのグループに分かれているようです。

国際的なマーケティング調査会社J.D.パワーによる、事故対応顧客満足度ランキングを、ご覧ください。

過去2年間の順位を引用しています。赤色がダイレクト(ネット通販)型です。

会社名 2023年 2022年
ソニー損保 1位 1位
東京海上日動 2位 7位
AIG損保 3位 2位
損保ジャパン 4位 3位
三井住友海上 5位 4位
イーデザイン損保 6位 8位
あいおいニッセイ同和 7位 5位
アクサダイレクト 8位 9位
セゾン自動車火災 9位 6位
三井ダイレクト損保 10位 12位
チューリッヒ保険 10位 10位
SBI損保 12位 11位

上に名前がない損害保険会社は、回答数が一定数に達しなかったため、除外されました。売上の規模が小さい会社です。

この表を見ると、ダイレクト型は3つのグループに分かれているようです。

代理店型と同等以上
  • ソニー損保
代理店型に近いレベル
  • アクサダイレクト
  • イーデザイン損保
  • セゾン自動車火災
代理店型より低いレベル
  • SBI損保
  • チューリッヒ保険
  • 三井ダイレクト損保

なお、口コミ・ランキングについては、自動車保険の品質を比較で、より詳しくご紹介しています。

ダイレクト(ネット通販)型でも、評価の高い自動車保険を選べば、安心ですね。

ダイレクト(ネット通販)型の損保会社は、代理店型と比べて、歴史が浅く規模の小さな会社ばかりです。破綻とか倒産の心配はありませんか?

ダイレクト型の損保会社はどこも、大きな企業グループに属しています。経営基盤はしっかりしています。

ダイレクト型の損保会社は、単体で見るとどこも若くて小さいです。しかし、ほとんどは大きな企業グループに属しています。

会社名 企業グループ等
アクサダイレクト フランスに本拠を置くAXAグループ。日本の大手損保より巨大。
イーデザイン損保 東京海上グループ(東京海上日動、日新火災)。
SBI損保 SBIグループ(ネット上で金融事業を多角的に展開)。
セコム損保 セコムグループ(セコムは国内最大の警護保障会社)。
セゾン自動車火災 SOMPOグループ(損保ジャパン)。
チューリッヒ保険 スイスに拠点を置くチューリッヒグループ。日本の大手損保と同格。
三井ダイレクト損保 MS&ADインシュアランスグループ(あいおいニッセイ同和、三井住友海上)。
楽天損保 楽天グループ。

外資系の保険会社は、つぶれなくても、日本から撤退するリスクはありますし、前例はあります。

しかし、親会社の経営がしっかりしていれば、加入者に不利益がない方法で撤退しています。神経質になる必要はありません。

今のところ、破綻の危機が迫っている損保会社はないようですね。

1年更新の自動車保険であれば、そもそも損保会社の経営状態を、そんなに気にすることはありません。

万が一の備えとして保険に入るのに、保険会社の経営状態に不安があっては、困ります。

もちろん、これは自動車保険にも当てはまります。

とは言え、1年更新の自動車保険なら、他の保険商品ほどは深刻ではありません。

  • 1年契約なので、当面の経営状態だけチェックしていれば良い。
  • 損保会社破綻後、3ヶ月間保険金全額が、それ以降は80%が保証される。
  • 満期になる前に経営危機に気がついたら、簡単に他社に乗り換えられる。

契約期間が長い保険だと、遠い将来の保険会社の経営状態まで気にしなければなりません。

しかし、1年契約の自動車保険なら、さしあたって、現在の経営状態をチェックすれば良さそうです。

また、損保会社が破綻したら、その後3ヶ月間は、損害保険契約者保護機構が保険金満額を保証してくれます。

その後も、救済会社が見つかるまで、保険金の80%を保証してくれます。

最悪、加入していた損保会社が破綻しても、1年契約なら、あっという間に満期が来ます。

ダイレクト(ネット通販)型の自動車保険は、なじみのない名前ばかりです。おススメはありますか?

保険料の安さなのか、事故対応品質なのか、自動車保険選びで重視することを、決めたいです。

ダイレクト(ネット通販)型自動車保険は、大きく2つのグループに分かれつつあります。

大手損保並みの事故対応品質を目指すグループと、品質はほどほどに追求し、保険料の割安感で勝負するグループです。

よって、保険料の安さなのか、事故対応品質なのか、どちらを重視するか決めておくと、検討を進めやすくなります。

大手損保並みの事故対応品質を目指すグループ

以下の会社が当てはまります。

  • ソニー損保
  • イーデザイン損保
  • セゾン自動車火災

ソニー損保は、複数の有力な顧客満足度調査で、最高の評価を勝ち取っています。

ただし、保険料の設定は強気です。

ダイレクト(ネット通販)型の中で、もっとも高額な損保会社の一つです。

イーデザイン損保セゾン自動車火災は、大手損保(損保ジャパン、東京海上日動など)に近い評価を得つつありますが、まだソニー損保よりは見劣りがあります。

そのかわりに、保険料はソニー損保より安いです。

おそらく、アクサダイレクトも、こちらのグループと同じものを目指しています。

しかし、現状では、事故対応の品質が目標を大きく下回っているようです。

品質はほどほどで、割安感で勝負するグループ

以下の会社が当てはまります。

  • SBI損保
  • 三井ダイレクト損保

SBI損保の事故対応は、顧客満足度調査では安定して低評価です。

そのかわり、保険料の設定は、業界最安値レベルです。

三井ダイレクト損保も、事故対応の評判は今ひとつです。もっとも、SBI損保よりは良好です。

保険料はダイレクト(ネット通販)型の中で上位の安さですが、SBI損保より少し高いです。

両社とも、こうした状況が何年も続いていることから、意図してやっていると思われます。

チューリッヒ保険は、本来はこちらのグループに近いようです。

ただ、同社の事故対応の評判は、妙に激しく上下動するので、要注意です。

検討の初期の段階で損保会社を絞り込むより、できるだけ多くの見積もりを集めることをおすすめします。

代理店型自動車保険では、よほど事故が多い人でない限り、損保会社より代理店の担当者と接する機会のほうが、はるかに多くなります。

そのため、意識していなくとも、代理店への信頼感が、自動車保険選びを左右します。

それに対して、ダイレクト(ネット通販)型自動車保険では、人間関係が入り込みにくいので、純粋に性能とか安さで選ばれることが多いようです。

そうなると、できるだけたくさんの候補の中から、最適な商品を選びたいです。

よって、検討の初期段階ではできるだけ選り好みせず、少しでも多くの見積もりを集めて見比べたいです。

といっても、ただでさえよく知らないダイレクト(ネット通販)型自動車保険の見積もりを、数多く手元に集めるのには、負担になりそうです。

しかし、心配ご無用です。

下でご案内する自動車保険の無料一括見積りサービスを利用すると、1回の入力で、主な自動車保険の見積もりが、一気にお手元に集まります。

すでに自動車保険に加入しているなら、ダイレクト(ネット通販)型への移行は簡単です!

自動車保険では、他社に移行するときに、等級をそのまま引き継ぐことができます。これは、代理店型とダイレクト(ネット通販)型の間での移行にも当てはまります。

なぜこんなことが可能かというと、どの損保会社の自動車保険でも、基本的な仕組みが共通しているからです。

損保各社は、独自性をアピールするために、特徴のある補償やサービスを提供しています。しかし、自動車保険としての根本の仕組みを好き勝手に改変しているわけではありません。

業界共通の仕組みに基づきながら、プラスαの補償やサービスで独自性を発揮しています。

よって、すでにどこかの自動車保険に加入しているなら、ダイレクト(ネット通販)型への移行は予想以上に簡単です。

そして、保険料は確実に安くなります。

代理店型でも通販型でも、基本の仕組みは同じ。移行は簡単です。

自動車保険の無料一括見積りサービスはいくつかありますが、以下の理由で、こちらのサービスをおすすめします。

  • 1回入力すれば、複数の気になる自動車保険の見積りが、一気に作成されます。
  • 参加している保険会社数が多く、おすすめしたい自動車保険がすべて含まれています。
  • 『保険見直し本舗』(全国300店舗以上)を展開する株式会社ウェブクルーによるサービスなので、安心感がある。
  • サイトの利用はもちろん無料。
  • サイトは使いやすく、各損害保険会社とのつながりはスムーズ。

自動車保険サイトの1社分の情報を入力すると、おもな自動車保険の保険料が図のように一覧表示されます。

その後、個々の自動車保険のホームページに移動して、さらに条件を変えて、試算をやり直すこともできます。

このサイトの利用者を対象としたアンケート調査によると、月々の保険料が平均して約25,000円安くなったそうです。

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