保険期間が1年を超える、長期契約の自動車保険があるそうですね!?

ここ最近、長期契約の魅力が低下しています。長期契約できることを条件に自動車保険を探すことは、おすすめできません。

一般的な自動車保険は1年契約で、毎年更新の手続きをします。ただし、損害保険会社によっては、複数年の長期契約が可能です。

損害保険会社にとって、長期契約の加入者はお得意様なので、いくつか特典を用意しています。すでに加入する損害保険会社が決まっているなら、1年契約より長期契約にする方が、メリットは多いです。

しかし、まだどの損害保険会社と契約するか決めていないなら、長期契約にこだわることが、プラスになるとは限りません。

というのは、

長期契約を条件に候補を探すと、一部の代理店型自動車保険に限定され、本当にオトクな商品を見逃す危険があります。

また、長期契約が盛んだった数年前と比べて、近年は長期契約のメリットが小さくなっています。

期待するほど、保険料は安くなりません・・・

2024年現在、長期契約を取り扱っているのは、代理店型自動車保険です。

2024年現在で長期契約を引き受けるのは、代理店型の損害保険会社です。

可能な保険期間は、契約内容に左右されるので、損保会社や代理店に問い合わせないとわかりません。

よく目にするのは、次のタイプです。

保険料月払い・年払い 最長3年
保険料一括払い 最長7年または8年

自動車保険の長期契約には、どんなメリットがありますか?

同じ自動車保険に入るなら、1年契約より長期契約にする方が、保険料負担を抑えられます。

たとえば、3年の長期契約なら、2年目、3年目の保険料が割引になります。1年ごとに更新して3年間続けるより、オトクです。

損保会社とすれば、更新の案内や手続きを省略できるので、省力化につながります。その見返りとして保険料を少し安くしてくれます。

ただ、割引率はそんなに高くありません。低金利・マイナス金利の時代なので、思い切った値引きは難しいようです。

長期契約なら、その期間中に限っては、事故を起こしても、翌年から保険料は上がりません。当初に約束された金額のままです。

1年更新の自動車保険だと、保険を使う(保険金を受け取る)と、翌年の更新のときに3または1等級ダウンして、保険料が高くなります。

一方、長期契約の自動車保険では、契約期間中の保険料は、契約のときに約束した金額になります。期間中に保険を使っても、等級ダウンによる保険料アップは起こりません。

もっとも、長期契約でも、保険を使うと翌年から等級ダウンになる仕組みの自動車保険があります(三井住友海上とか)。具体的なご検討に際しては、ご注意ください。

長期契約でも、契約期間の終了したら、事故による等級ダウンは反映されます。

長期契約の契約期間が終わったら、等級ダウン事故は、次の更新のときに影響します。その次も長期契約にしたとしても、2つの契約期間の間の更新のときに、等級ダウン事故は反映されます。

ちなみに、契約期間終了後の、最初の更新での等級は、以下のような算式で決まります。

等級+{契約年数ー(3等級ダウン事故件数+1等級ダウン事故件数)}ー(3等級ダウン事故件数×3+1等級ダウン事故件数×1)

複雑な算式ですが、たとえば、3年契約の1年目で3等級ダウン事故を起こしたときの、4年目の等級は、下のようになります。

経過年数 1年契約 3年契約
1年目(事故 10等級 10等級
2年目(等級ダウン) 7等級 10等級
3年目 8等級 10等級
4年目(長期契約満了) 9等級 9等級

どちらも、スタート時点は10等級です。

1年契約では

1年目に3等級ダウン事故を起こしたら、翌年(2年目)は3等級下がって7等級になります。

それ以降事故がなければ、毎年更新のたびに、1等級ずつ上昇します。

3年契約では

契約期間の3年間は、10等級のままです。しかも、2年目、3年目には、長期契約の割引が適用されます。

このように、契約期間中は、等級ダウン事故の影響がありません。

ただし、4年目の更新のときに、上の算式が使われて、等級ダウン事故が反映されます。この例では、1年契約と同じく、9等級からの再スタートです。

3等級ダウン事故後の、等級の推移のイメージ

長期契約でも、気軽に保険を使うのは危険です。

保険を使う事故を起こしたときは、1年契約より、長期契約の方が有利な取り扱いになっています。

とは言え、上で説明したように、契約期間後にはその影響を受けるので、事故を起こしても、保険を使うかの判断は、慎重でありたいです。

他人に損害を与えて、損害賠償しなければならないときに自動車保険を使うのは、止むを得ません。損害保険会社が、示談交渉をしてくれますし。

しかし、自分の車の軽いキズを修理するのに、自動車保険から何回も保険金を受け取っていたら、契約期間終了後の等級が、とんでもないことになります。

また、長期契約は、優良顧客(=事故を起こさないで保険を何年も続けてくれる加入者)を厚遇するための仕組みです。

事故をよく起こして、保険をちょいちょい使う人は、損害保険会社にとって優良顧客ではありません。

再び長期契約を希望しても、過去の事故を理由に、断られるかもしれません。

契約期間中に商品改定があっても、期間中はその影響を受けません。ただし、それがデメリットになることもあります。

長期契約の契約期間中に、損害保険会社が補償内容の変更や保険料率の改定をおこなっても、原則として契約期間中はその影響を受けません。

このことは、どんな改定かによって、メリットになったり、デメリットになったりします。

過去数年は、改定のたびに、保険料が値上がりしていました。若者の車離れなどのせいで、損保会社の収益が悪化傾向にあったからです。こういうときは、改定の影響を受けないことはメリットです。

ただし最近は、車の安全装備の進化のおかげで、保険料を値下げする例も増えてきました。改定で保険料率が切り下げられても、長期契約の期間中は、その恩恵を受けられません。

というように、商品改定の影響を受けないことが、長期契約のメリットなのかデメリットなのかは、一概には言えなくなっています。

長期契約の自動車保険に加入しても、途中で解約して、他社の自動車保険に移行することは可能です。

長期契約だからといって、解約や他社への切り替えに関して、制約はありません。

このことを含めて、1年更新と比較して、長期契約にすることのデメリットはありません。気に入った自動車保険で、長期契約の取り扱いがあれば、そちらを選ぶことをおすすめします。

長期契約にしたら、どのくらい保険料は安くなりますか?

事故を起こさなければ、1年契約でも長期契約でも、保険料の差は無視できる程度です。

共栄火災の自動車保険で、1年契約と3年契約の保険料を実際に比較しました。

35歳で10等級の人が、車両保険を付けたときの、3年間の年払い保険料です(同社の「おすすめプラン」)。無事故を前提に見積もりしました。

経過年数 1年契約 3年契約
1年目 120,600円 120,600円
2年目 116,380円 114,640円
3年目 112,160円 113,160円

1年目は同額。2年目・3年目は3年契約の方が安くなりましたが、差は小さいです。

割引の大きさは損害保険会社によって異なりますが、とは言え、極端な違いはありません。

長期契約の割引は意外と小さいのですね・・・

すでに加入決めている自動車保険に長期契約があるなら、長期契約をお勧めします。

長期契約で自動車保険に加入したとして、その期間中に保険料が値下げされても、長期契約の保険料は変化しません。そういうときは損をしてしまいます。

ただし、ここ数年の保険料の変化を見る限り、大きな値下げは無さそうです。

下のグラフは、自動車保険(任意保険)の保険料の推移です(損害保険料率算出機構『自動車保険の概況』2022年度版)。

(百億円) 400 200 0 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度

多少の変動はありますが、幅は小さいです。

これなら、加入するつもりの自動車保険で長期契約を選べるなら、選んだ方が少しは保険料を節約できそうです。

大幅に保険料を安くするなら、長期契約よりも、ダイレクト(ネット通販)型自動車保険を検討してください。

保険料を大幅に安くしたいということなら、長期契約を検討するより、ダイレクト(ネット通販)型自動車保険に乗り換える方が効果があります。

なじみのない損保会社との契約がご不安でしたら、手始めに、以下の大手損保系列のダイレクト(ネット通販)型自動車保険をご検討下さい。

損保グループ 系列のダイレクト型
東京海上グルーブ
(東京海上日動など)
〔イーデザイン損保〕
SOMPOグループ
(損保ジャパンなど)
〔セゾン自動車火災〕
MS&ADグループ
(三井住友海上など)
〔三井ダイレクト損保〕

自動車保険の無料一括見積りサービスはいくつかありますが、以下の理由で、こちらのサービスをおすすめします。

  • 1回入力すれば、複数の気になる自動車保険の見積りが、一気に作成されます。
  • 参加している保険会社数が多く、おすすめしたい自動車保険がすべて含まれています。
  • 『保険見直し本舗』(全国300店舗以上)を展開する株式会社ウェブクルーによるサービスなので、安心感がある。
  • サイトの利用はもちろん無料。
  • サイトは使いやすく、各損害保険会社とのつながりはスムーズ。

自動車保険サイトの1社分の情報を入力すると、おもな自動車保険の保険料が図のように一覧表示されます。

その後、個々の自動車保険のホームページに移動して、さらに条件を変えて、試算をやり直すこともできます。

このサイトの利用者を対象としたアンケート調査によると、月々の保険料が平均して約25,000円安くなったそうです。

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