自動車保険の特約は種類が豊富で、車と直接関係ない特約もあるようです。それらも前向きに検討した方がよいでしょうか?
1本の契約で、複数の保険をまとめて管理できるのは、便利です。ただし、慎重に選びましょう。
自動車保険の特約は、その裾野をどんどん広げており、もはや自動車保険とは言いにくいものまで含まれています。
よく言えば便利さが拡大しています。意地悪な見方をすると、自動車保険と抱き合わせていろんな保険を売りつけているようにも映ります。
とは言え、以下のようなメリットはあります。
- 必要な複数の保険を、1本の契約にまとめられるので、手続きや管理の負担が軽くなる。
- 単体の保険より特約の方が、内容がシンプルで、保険料が安くなることがある。
2つめのメリットは、当てはまるときと当てはまらないときがあります。
もっとも、お手軽だからと、考えもなく特約を付加するのは危険です。
事故がないと保険を使わないので、中身がおかしくなっていても、気がつきにくいです。
また、ひどいときには、自分の保険の中身を忘れて、請求し損なう危険があります。
ちなみに、保険金請求の時効は3年です(保険法第95条)。つまり、保険金を請求できる状態になったのに、3年間放置していると、請求する権利が消滅します。
事故を起こしたときに「こういうときのために、保険をかけていたはず!」と思い出せるくらい、必要性の高い補償に絞り込んで、わかりやすくしておきたいです。
ファミリーバイク特約
自動車保険の記名被保険者、またはその家族が原動機付自転車(125cc以下のバイク)を運転していて事故にあった場合に、自動車保険に契約している車の事故と同じように保険金を受け取ることができます。
自動車保険のすべての保険・特約・サービスを使えるわけではありません(たとえば、ロードサービスは使えません)。使える範囲は自動車保険ごとに異なっているので、確認してください。
普通は、原動機付自転車で事故を起こして、この特約から保険金を受け取ったとしても、自動車保険の等級は下がりません。
詳しくは、ファミリーバイク特約で説明しています。
個人賠償責任特約(日常生活賠償特約)
自動車保険の契約者とご家族が、自動車・バイク事故以外の日常生活の事故で、他人をケガさせたり損害を与えて、損害賠償責任を負った場合に、保険金を受け取ることができます。
その多くが、示談交渉を代行してくれます。
実際には、自転車事故を想定してこの特約を検討する人が多いのではないかと思います。
そのほか、大型犬を飼っている人が念のためにとか、子どものトラブルを心配してとか・・・
いずれにしても、自動車保険の働きからはやや離れた特約なので、特約を付けたことを忘れて、使えるときに請求を漏らさないよう注意したいです。
自転車の事故に関する特約
上の個人賠償責任特約(日常生活賠償特約)は、自転車事故を含めて、日常生活でのあらゆるトラブルに対応できます。
ただし、個人賠償責任特約から出るお金は、相手への損害賠償の費用に限られます。こちらの治療費や修理代は、残念ながら出ません。
自転車事故等を想定すると、他人を傷つけるだけでなく、自分のケガも心配になります。せっかくなら、こちらの治療費の補償くらいは、準備したくなります。
その方法は、大きく3つあります。
- 自動車保険に人身傷害保険を付けて、補償される事故の範囲を最も広く指定する(車外の事故も補償対象にする)。
- 自転車専用の特約がある自動車保険は、それを検討する。
- 自動車保険とは別に、傷害保険や自転車保険に加入する。
このうち、一番上の方法は、ほぼすべての自動車保険で可能です。
二番目の方法は、自転車専用の特約がある自動車保険に限られます。そういう自動車保険は、少数派です。
三番目の方法は、ほとんどの損保会社で対応可能です。ただし、入る保険の件数が増えるので、手続き・管理の負担は増えます。
補償内容がすっきりするのは、一番上の人身傷害保険です。
というか、人身傷害保険を現在付けているなら、もしかしたら、すでに自転車事故に対応できているかもしれません。ご確認ください。
詳しくは、自転車事故も補償するで説明しています。