どの自動車保険でも弁護士費用特約があるようです。どういうときに使える特約ですか?
通常、事故の相手との示談交渉は、損保会社がやってくれます。ただし、例外があります。
自動車保険(任意保険)に加入していると、自動車事故のときには、損害保険会社が示談交渉(解決のための話し合い)をしてくれます。
これは、加入者全員に提供されているサービスです。
ただし、損保会社が示談交渉できないケースが、いくつかあります。
- 過失が無い等で、こちらに損害賠償責任が生じないとき
- 事故の相手方が、損保会社との示談交渉を拒否したとき
- こちらが、損保会社への協力を拒んだとき
- 対人事故において、こちらの車が自賠責保険に入ってないとき
損保会社が示談交渉をしてくれないときは、自分でおこなうか、弁護士などの専門家に依頼することになります。
弁護士費用特約が役に立つのは、こちらに賠償責任が無いケースです。
上で、損保会社が示談交渉をしてくれない4つのケースをご案内しました。
そのうち、こちらに賠償責任が無いときに、弁護士費用特約が役に立ちます。
こちらに賠償責任が無い事故とは
こちらが走行中の事故だと、どんなにしっかり運転していても、こちらの過失がゼロになることはまれです。
示談交渉の結果、こちらの責任がゼロになることはありえます。
しかし、少なくとも示談交渉前の時点で、過失ゼロと決めつけることはできません。
示談交渉前の時点で、こちらの責任がゼロと見なせるのは、こちらの車が停車中や駐車中の事故です。例えば・・・
- 駐車場に車をとめていたらぶつけられた。
- 信号待ちで停車中に追突された。
というようなケースです。《もらい事故》と呼ばれることがあります。
《もらい事故》のときは、こちらの責任はゼロ、つまり自動車保険から損害賠償する見込みがないので、損保会社は、示談交渉をしてくれません。
こちらに責任が無いときに、示談交渉をしてくれない理由
こちらに過失等の責任がないときに、損保会社が示談交渉をしないことには、それ相応の理由があります。
そもそも、損保会社が示談交渉をしてくれるのは、損保会社も事故の関係者(示談交渉で決まった金額を支払う立場なので)だからです。
損保会社が損をしないためでもあります。
《もらい事故》のような、あきらかにこちらに責任のない事故では、こちらの自動車保険を使いません。
ということは、損保会社は、示談交渉の関係者ではなくなります。
関係者ではないのに示談交渉をすると、それは損害保険とは別の業種の仕事になります。弁護士など法律の専門家の仕事をうばうことになります。
それは、法律で禁止されています。
というわけで、こちらに過失などの責任がないときは、自分で示談交渉するか、弁護士などの専門家を雇うことになります。
もらい事故は、とても多い
《もらい事故》の正確な発生率はわかりませんが、その典型の一つである停車中の追突事故の件数なら、警察庁の統計で調べられます。
警察庁『平成29年における交通事故の発生状況』によると、停車中の追突事故の発生状況は、下の通りです。
車同士の事故件数 | 408,812件 |
---|---|
停車中の追突事故 | 152,450件 |
発生率 | 37.3% |
つまり、車同士の事故の3件に1件以上が、停車中の追突事故です。
自動車事故に限らず、示談交渉をやった経験がありません。はたして、一般人にできるのでしょうか?
損保会社の示談の担当者や、相手が雇った弁護士などと交渉することになります。専門家に任せた方が安心です。
示談交渉の相手は、損保会社の担当者か、弁護士などの法律の専門家になる可能性が高いです。
素人が、こうした専門家と示談交渉するのは危険です。
法律や判例の知識が必要
示談交渉は、法律や判例(過去の裁判の判決)をもとにおこなわれます。
交渉が決裂して、裁判に突入したときに、裁判所がどんな判決を下しそうかを念頭に置きながら、相手と駆け引きをするのが、示談交渉です。
だから、法律や判例の知識がないと、まともに交渉できません。結果として、不利な条件を、そうと気がつくことなく、飲まされる危険があります。
損保会社の示談担当者にとって、保険金を減らすことが仕事です。また、弁護士等法律の専門家の報酬額は、示談交渉の結果に左右されます。
どちらも、正義の味方ではないし、交渉相手となるわたしたちの味方でもありません。
そうしたプロたちと、専門知識を持たないで交渉するのは、リスクが大きいです。
示談交渉がいったんまとまったら、変更できない
示談交渉がまとまったら、示談書として文書化されます。この示談書は、和解の契約書としての効力を持ちます。
示談書の内容が不公平だったとしても、示談書が適正に作成されたものなら、変更や再交渉はできません。
だから、示談交渉するなら、初めから万全の態勢で臨みたいです。
利用しやすい交通事故専門の弁護士がいる
弁護士など法律に専門家に依頼するとしたら、その費用が気になります。
しかし、今日では、都市部を中心に、低予算で示談交渉を引き受けてくれる、交通事故専門の弁護士が増えています。
そういう弁護士たちは、依頼者が費用を気にしていることをわかっています。
そこで、初回相談料を無料にしたり、示談交渉で勝ち取った賠償金の中から報酬を受け取る仕組みにするなど、依頼者の負担感を下げる努力をしています。
また、弁護士などの依頼料も、適正な範囲までなら、事故の相手に請求できます。
依頼するためにいったん自腹を切っても、後で戻ってきます。
かつてに比べると、法律の専門家に相談しやすくなっています。
自動車事故で弁護士に示談交渉を依頼した場合、費用はどのくらいになりますか?
金額はケース・バイ・ケースです。事故の相手に請求する金額などに左右されます。
たいていの場合、弁護士に支払う費用は、次の4つからなっています。
- 法律相談料
- 着手金
- 報酬金(成功報酬)、手数料など
- 実費(印紙代や交通費など)
報酬金の金額は、事故の相手方への請求額や、回収額(勝ち取った金額)の○○%となっていることが多いようです。示談交渉が終わって、事故の相手から受け取った賠償金の中から、これらの金額を支払うことになります。
それでも、報酬金以外の費用は、こちらで負担することになります。実際のところ、実費以外の料金設定は、弁護士によって大きな隔たりがあるようです。法律相談料や着手金を無料にする弁護士もいます。
このページで取り上げているのは、相手の責任割合が100%であることが確定しているケースです。弁護士にとってさほど困難な依頼ではないでしょうから、報酬金以外の費用として20~30万円くらいを想定しておけば、たいていは乗り切れるでしょう。
弁護士などに示談交渉を依頼するときに、その費用に不安がある人は、この特約を付けた方が良いのでしょうか?
弁護士費用は、損害の一部として事故の相手方に賠償請求できます。よって、弁護士費用特約は、どうしても必要な補償ではありません。
損害保険会社が示談交渉してくれないのは、交通事故についてこちらに過失責任がない場合です。そして、こちらに過失責任がないのなら、最終的には、損害のすべてを相手に賠償してもらうことになります。
弁護士費用も損害賠償に含まれる
相手に請求する損害賠償額の中には、弁護士にかかる費用を含めることができます。よって、弁護士に示談交渉を頼んだとしても、こちらが自腹を切ることはありません。
もっとも、事故の相手に請求できるのは、弁護士費用として標準的な金額までです。それより高額になったときは、超えた金額を自己負担することになります。
つまり、料金設定が高い弁護士などに依頼すると、多少の自己負担が発生することになります。
というように、最終的には、弁護士費用の全額かほとんどを、事故の相手方が負担することになります。
相手が損害賠償してくれるまでの期間、手元の資金で対処できるなら、弁護士費用特約は不要になります。
不慣れな出来事の連続なので、安心材料になる
示談交渉が最終決着したら、こちらの損害を事故の相手方が賠償してくれます。しかし、一時的とは言え、示談交渉が終わるまでの間は、ある程度の費用を負担することになります。
その費用には、弁護士費用だけでなく、ケガの治療費や車の修理代なども含まれます。全部合わせると、どのくらいの金額になるか、わかりません。
また、相手のあることなので、最終決着までにかかる期間はわかりません。示談交渉がこじれて、裁判になったら、想定外に長引く恐れがあります。
そもそも、弁護士を探すことが、一般の人にとっては負担になりそうです。最近は、弁護士を紹介してくれる損保会社が増えましたが、決めるのはわたしたち自身です。
そういうときに、費用の調達に不安があると、相当なプレッシャーになります。
弁護士費用特約があれば、上限300万円までの弁護士費用が保険から出ます。一般的な交通事故では、十分すぎる金額です。
資金繰りの面で助けになるのは当然ですが、気持ちの面でも支えにはなってくれそうです。
無料一括見積りなら、保険スクエアbang! 自動車保険へ
自動車保険の無料一括見積りサービスはいくつかありますが、以下の理由で、こちらのサービスをおすすめします。
- 1回入力すれば、複数の気になる自動車保険の見積りが、一気に作成されます。
- 参加している保険会社数が多く、おすすめしたい自動車保険がすべて含まれています。
- 『保険見直し本舗』(全国300店舗以上)を展開する株式会社ウェブクルーによるサービスなので、安心感がある。
- サイトの利用はもちろん無料。
- サイトは使いやすく、各損害保険会社とのつながりはスムーズ。
自動車保険サイトの1社分の情報を入力すると、おもな自動車保険の保険料が図のように一覧表示されます。
その後、個々の自動車保険のホームページに移動して、さらに条件を変えて、試算をやり直すこともできます。
このサイトの利用者を対象としたアンケート調査によると、月々の保険料が平均して約25,000円安くなったそうです。