ケガの補償をできるだけ手厚くしたいです。どんな特約がありますか?
ケガの補償は、人身傷害保険が中心になります。ただし、他にも似た保険があってわかりにくくなっています。
2つの傷害保険
自動車保険の傷害保険は、人身傷害保険と搭乗者傷害保険の2つがあります。
人身傷害保険の方が、新しく開発された保険で、搭乗者傷害保険の機能をすべて吸収しており、そのうえ新しい機能が追加されています。
ですから・・・
2つの保険の加入率を比べても、人身傷害保険が圧倒しています。
以下は、損害保険料率算出機構『自動車保険の概況』(23年度版)より、自動車保険加入者中の、それぞれの保険を付けている人の割合です。
人身傷害 | 搭乗者 傷害 |
---|---|
92.8% | 43.8% |
人身傷害保険を付ける人は、90%を超えています。搭乗者傷害保険の付保率は、人身傷害保険の半分以下です。
一本化する商品が増加中
ここ数年、人身傷害保険が搭乗者傷害保険を吸収する商品が増えています。
たとえば、東京海上日動の人身傷害保険には傷害一時費用保険金(ケガで5日以上入通院したとき一時金が出る)があります。これは、かつての搭乗者傷害保険です。
損保ジャパンの人身傷害保険についている⼊通院定額給付⾦も同じです。
補償の厚さ・広さなら人身傷害保険、速さなら搭乗者障害保険です。それぞれ特長があります。
どちらの保険も、自動車事故(または交通事故)による死傷を補償する保険です。
そういう意味で、共通する部分が多いですが、もちろん違いもあります。下表に整理しました。
ただし、商品によって、補償内容が少しずつ違います。
項目 | 人身傷害 保険 |
搭乗者傷 害保険 |
---|---|---|
死亡したとき | 実際の損害に相当する保険金が出る。 | 決まった金額の保険金が出る。 |
ケガの治療費 | 実際にかかった費用相当の保険金が出る。 | 治療内容に応じて、決まった金額が出る。 |
治療による収入減 | 休業による損害も補償される。 | × |
事故による精神的ダメージ | 慰謝料として保険金が出る。 | × |
保険金が出るタイミング | 治療等が終わった、損害確定後に請求する。 | 治療中でも、条件を充たしたら、保険金を請求できる。 |
5つの項目で比較しましたが、4つの項目で人身傷害保険が勝っています。
保険金額の大きさと、補償する範囲の広さでは、人身傷害保険が圧倒的に優れています。
劣勢な搭乗者傷害保険ですが、保険金が出るタイミングの早さが強みです。
加入・更新の手続きの時点で、保険金額が決まっているので、治療が終わっていなくても、「○○日以上入院する」というような条件を充たしたら、保険会社に保険金支払いを請求できてしまいます。
人身傷害保険を搭乗者傷害保険(特約)で補強すると、治療費の確保はさらに安心です。
搭乗者傷害保険を、搭乗者傷害特約として提供している自動車保険は、いくつかあります。
しかし、名称に〈特約〉が付けていなくても、ほとんどの自動車保険で、搭乗者傷害保険は実質的に特約として扱われています。
事故でこちらが死傷したときの損害は、人身傷害保険があれば、ほとんどカバーできてしまいます。
ただし、人身傷害保険の保険金を請求できるのは、治療が終わって、その費用が確定した後です。ということは、いったんは治療費を自己負担しなければなりません。
上で説明したとおり、搭乗者傷害保険(特約)は、保険金が早く出ます。
これを人身傷害保険と組み合わせることで、自己負担を減らすことができます。
自己負担をできるだけ抑えたいなら、この組み合わせは有効です。
人身傷害保険に付けることのできる、その他の特約をご案内します。
傷害保険に関連する特約のうち、よく見かけるものをご案内します。
無保険車傷害特約
事故でケガをしたときに、以下のような理由で、十分な損害賠償金が受けられないことがあります。
- 事故の相手が保険に加入していない。
- 相手の保険では損害賠償額に足りない。
- 当て逃げなどで、相手が不明。
自分の自動車保険に無保険車傷害特約が付いていると、不足分の金額を保険から受け取ることができます。
車対車の事故の場合、相手は強制保険(自賠責保険)には加入しているはずです。しかし、任意保険に加入していない可能性はあります。自賠責保険だけでは、十分な損害賠償を受けることができません。そんなときも、この特約の出番になります。
ちなみに、損害保険料率算出機構『自動車保険の概況』(2023年度版)によると、任意保険(共済を含む)に加入していないのは11.4%にのぼっています。
自損事故傷害特約
自損事故(単独事故)によるケガの治療費を補償する特約です。
車同士の事故では、お互いの責任割合に応じて、損害賠償します。こちらのケガの治療費も、相手の責任割合の分は、相手が負担することになります。
ところが、自損事故(単独事故)には相手がいないので、治療費の全額を自分で負担することになります。
そういう不安に対応した特約です。
人身傷害保険か搭乗者傷害保険があれば、自損事故(単独事故)によるケガの治療費は、これらの保険から出ます。よって、自損事故傷害特約をさらに付ける必要はありません。
治療・入院の補償をさらに手厚くする特約
上で、人身傷害保険は損害の実費を補償すると書きましたが、補償範囲に限界があります。たとえば、以下のような項目は、通常では補償範囲からはずれます。
- 差額ベッド代
- 介護ヘルパーを雇う費用
- 入院中のホームヘルパーやベビーシッターを雇う費用
- 子供を保育施設に預ける費用
- 子どもの養育費・教育費
- 退院後のリハビリのための費用
- 障害が残ったときの自宅の改造や福祉車両購入の費用
これらの費用を補償するための特約が、いろいろと用意されています。名称も、バラエティに富んでいます。
もちろん、自動車保険の特約なので、自動車事故か交通事故で入院したときのみ使える補償です。
人身傷害保険の補償範囲を変更する特約
人身傷害保険の補償範囲を最大にすると、歩行中や自転車に乗っているときの交通事故までカバーできます。せまくすると、自動車保険に加入している自動車を運転中の事故のみが補償されます。
たいていの自動車保険では、「一般型」「エコノミー型」「車対車+A」などと指定するようになっています。
ただし、中には、特約を付けることによって、補償範囲を調節する仕組みの自動車保険があります。
特約を付けることによって、補償範囲が広くなったり、せまくなります。
特約の存在に気がつけないと、補償範囲を調節できることにも気がつかない危険があります。まぎらわしいです。
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